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大阪高等裁判所 昭和35年(く)73号 決定 1961年7月31日

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の理由は記録に編綴の抗告状に記載のとおりであるからこれを引用する。

よつて案ずるに、刑事訴訟法第五〇二条は、裁判の執行に関して検察官のした処分が不当であるとするときは、その裁判を言渡した裁判所に、右処分の不当を主張して異議の申立をなしうることを認めたものであつて、右異議において裁判の内容そのものの不当を主張し、或いは現行刑罰制度乃至行刑制度を非難する如きは許されないのみならず、検察官において未だ当該裁判の執行指揮その他の処分をしない以前において、本条による異議申立をなしえないことは原決定の説示するとおりである。そして本件確定裁判に基く死刑の執行については未だ検察官において刑の執行指揮その他何等の処分をしていないことが明らかである以上、本件異議の申立は不適法なものといわなければならない。従つて右と同趣旨に出でた原決定は正当であつて、何等違法、不当の点はなく、本件抗告は理由がないから刑事訴訟法第四二六条第一項によりこれを棄却すべきものとし、主文のとおり決定する。(昭和三六年七月三一日大阪高等裁判所第四刑事部)

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